このブログでは、工作の記録、実験の結果や考察が散逸しないように専ら備忘録に使ってます。プログラムのソースや設計データ等は載せていませんが、詳しく知りたい方がおりましたらコメントいただければ対応します。

所有する主な測定器はこちらです。


ラベル トラジェネ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル トラジェネ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2011年7月22日金曜日

トラッキングジェネレータ(2)

まずは、226.42MHzを出力する発振器を作ります。トラジェネでは、この発振器の周波数がブレずに安定していることが求めらます。今回は固定周波数なので、VCOを簡単にPLLシンセサイザで駆動することにします。
この発振器で使用するVCOは、表面実装でちょうど良さそうなのがdigikeyにあったので、CrystekのCVCO55CW-0140-0250にしました。このVCOは5V電源、チューニング電圧が0.5-10.5Vです。また、VCOに合ったPLL用の石がアナログデバイセズにあったので、サンプル提供をお願いしました。それが、ADF4113HVです。
このPLLシンセサイザは3線インターフェースでデータを入力する必要があるため、その設定用のマイコンをPICで実装することにしました。起動時にデータを入力するだけなので、8ピン小型PICの12F629で十分すぎます。12F629は内部クロック4MHzで駆動し、外部部品は必要なしです。

さて、PLLシンセサイザには位相比較用の基準周波数が必要です。通常、周波数誤差が少ないTXCO(25ppmとか値段がはる!) を使うのですが、うちにはGPS基準の10MHzソースがあるので、これを使うのが手っ取り早いし、超正確だし、リーズナブルです。したがって、基準周波数は外部入力としました。
最後に、PLLシンセサイザのループフィルタの定数(抵抗やコンデンサ)を決めないといけません。アナログデバイセズは、自社PLL用の設計ツール(ADIsimPLL)を無料で提供しており、このツールを用いて設計してみました。

以上の発振器について、いつもの基板CADのEagleを使ってプリント基板を設計してみました。サイズは小さいほど基板が安いため、5cm角のサイズに詰め込みました。






この基板を、格安PCB作成業者のFusionに出してみました。両面シルク、グリーンレジスト有が、5cm角10枚で$9.9で作れます。1枚100円くらい、穴あき基板で作るより安いかも(笑
基板厚さも0.8から2.0mmまで5種類から選択できます。
ガーバーデータをメールで送付し、1-2週間くらいで仕上がって送られてきます。

基板がやってくるまでの間に、他の部品もすべて集めておきました。さて基板が到着しましたが、仕上がりも上々でした。ちょっと安すぎるので仕上がりが不安でしたが、 結果かなり満足です。さっそく、部品を実装してみました。
 (CADの絵と実際の基板が微妙に違っているのは、CADの絵はバグ修正後のデータだからですw)


あとはPICの設定と動作確認です。

(3)へ続く

P.S. この基板ですが、VCOとループ定数を変えれば別の周波数の発振器で使えます。未使用の基板(バグ修正済)がまだあるので、ほしい方にはPICデータも含めて差し上げますので、連絡ください。

応援クリックをお願いします!

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ
にほんブログ村 電子工作ランキング

2011年7月21日木曜日

トラッキングジェネレータ(1)

LCフィルタとかを作っても、変なところにノッチがあったり、性能が出なかったりで、周波数特性を調べないと、なかなか使えません。
こういう時は、トラッキングジェネレータ(トラジェネ)が便利です。でも、トラジェネはスペクトラムアナライザ(スペアナ)のオプションであり、ちょっと高価で入手性も悪いです。スイープ機能があるシグナルジェネレータ を使って調べるのも手ですが、ちょっと手元にありません。

スペアナは一種のスーパーヘテロダイン広帯域受信機です。YIG発振器で連続的に発生させたスイープ信号を、入力信号と混合します。このMIX信号をXYスコープのY軸に加え、YIG発振器のスイープ電圧をXYスコープのX軸に加えると、スペアナの信号として観測できます。

うちにあるアドバンテストR4131Cは同じアドバンテストのR3267に比べて性能が劣るのですが、LO1とLO2が裏に出ているので、簡単にトラジェネが作れそうです。《こいつの純正トラジェネは外付けなので当たり前ですが》
まず、オペレーションマニュアルから内部の発振周波数を調べます。一般的に、こういう情報はあまり出ていないのですが、R4131Cのマニュアルには内部ブロック図まで書かれてありました。

マニュアルから細かい周波数の情報を拾ってまとめると、次のようになります。
スペアナの0-3.5GHzの入力信号は、第1LOの4-7.6GHzと混合させ4GHzの第1IFに変換されます。以下同様に、226.42MHzの第2IFに、26.42MHzの第3IFに、最後に3.58MHzの第4IFに順次変換されていきます。また、スペアナの裏パネルには、第1LOの4-7.6GHzと、第2LOの3.77GHzが出ています。
つまり、R4131Cに使えるトラジェネは、第2IFと同じ226.42MHzの周波数に第2LOを混合した4GHzに、第1LOのスイープ信号を混合させたスイープ信号を出力すればいいことになります。

ここで注意することは、トラジェネはスペアナと同じ周波数を発振しているため、漏れ信号が第1、第2LOの出力端子からスペアナに入り込むと、スペアナのノイズレベルが上がってしまうことです。これを防ぐために、スペアナからの第1第2LO出力に20dBのアイソレータを2つずついれ、40dBのアイソレーションを確保します。
下の図は、トラジェネのブロック図です。レベル調整のためのアンプやアッテネータなどの細かいパーツは除いてあります。

たぶんこれでいけるでしょう。DBMの帯域特性の都合上、最終のローパスは2GHzのものになりましたので、トラジェネの出力は0-2GHzです。でも、実用には十分ですね。
広帯域のDBMと3.3GHzのLPFを見つけたので、トラジェネの出力はDC-3.3GHzになりました。
(2)へ続く

応援クリックをお願いします!

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ
にほんブログ村 電子工作ランキング