このブログでは、工作の記録、実験の結果や考察が散逸しないように専ら備忘録に使ってます。プログラムのソースや設計データ等は載せていませんが、詳しく知りたい方がおりましたらコメントいただければ対応します。

所有する主な測定器はこちらです。


2011年7月31日日曜日

秋月のオシロプローブ

秋月にオシロスコープのプローブが売ってますが、帯域300MHzのプローブが2500円という安さ、明らかに怪しいです。
このプローブ、香港製でHongKong TEXASという会社の製品みたいです。ホームページにもプローブがいろいろでています。
値段が値段なので、まともに動くのかよくわからないですが、試しに1つ買ってみました。
さっそくオシロにつけて、本体の校正信号を見てみました。
うーん、方形波の形がおかしいです。通常、プローブは測定前に周波数特性を補正してあげないといけないので、調整トリマを回して方形波になるように調整します。

で、付属の調整ドライバで回してあげると、

なんと、波形がまったく変化しません!!(笑

初期不良でした。orz

やはり2500円のプローブは、安かろう悪かろうです。店で交換しても、我が家では2軍行き確定です。

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2011年7月30日土曜日

疑似回転信号(LinkStation)

古いLinkStation HD-160LAN があるんですが、電源を入れてしばらくすると、赤LEDが点滅して自動停止します。どうやら、電源冷却用のFANに異常があるみたいです。たしかに回転音がおかしいというか、止まってるというか。

容量も160Gしかないのでアレなんですが、でも、捨てるにはもったいないような。。。
ばらしてみて、イカれたFANを取り出しました。筐体のツメが固くてバラすのに苦労しました。
12Vファンで、3本線です。そう、こいつは回転数に応じてパルスを出すタイプです。青いリードからパルスが出ています。これでは、普通のFANをつないでもダメです。FANが回転していないと判定されて自動停止してしまいます。
うーん、この手のファンは高いんですよね。千石で1000円くらい。さすがに1000円出して修理する価値はないでしょう。

で、秋月でこんなの売ってました。
を、100円! サイズも厚みもぴったし!
これが使えるといいんですが、これは電源の2本線しか出ていなくて、さらに5Vタイプ。。。

ちょっと簡単に考えてみました。LinkStationはFANの回転数を検出してアライブ判定につかってるんだろうから、パルスを何かで発生させてLinkStationに食わせてあげれば、だまされてくれるんじゃね?

ってなわけで、パルスを発生させるには、シグネティクスのNE555と相場が決まってます。
もちろん部品箱にも在庫がいっぱいあるので、これを使いましょう。
回路図も手書きでさらさらと。
ここで、パルスの周波数をいくつにすればよいか調べないといけません。取り出したファンに12Vをつないで、パルス出力をオシロで観測してみましょう。壊れているのでまともなパルスは出てこないと思いますが、まあ念のため。
異音をたてながらFANが回ります。さてどんな波形がでるかなあ。
こんなん出ました。
汚いパルスですが、6ms周期で出ているように見えます。6ms周期ということは、約167Hzです。この周波数のパルスを出せば、デューティ比はあんまり気にしなくてもよさそうです。

さて、NE555の出力周波数は、2つの抵抗と1つのコンデンサの定数を用いて次式で決定します。
f (Hz) = 1.44 /{(Ra + 2Rb) x C}
外付けのコンデンサを0.1uFとしたときに、ちょうどいい抵抗の組合せは、Ra=6.8kΩ、Rb=39kΩと計算で出ました。抵抗の在庫もあるので、これで作りましょう。
新しいFANとNE555の電源5Vも、手持ちの三端子レギュレータで作ります。この程度の回路ならユニバーサル基板で十分です。
さて組みあがったので、実験用電源につないでパルス信号をオシロで見てみましょう。

まあこんなもんでしょう。ちゃんと6ms周期で出ているようです。これをLinkStationに組み込みます。
作った基板をねじ止めできる場所はないかなと探すと、ちょうどいい支柱がありました。何も使っていないようなので、そこにねじ止めして固定します。
筐体をはめなおし、さっそく電源をいれてみます。
をー、時間がたっても勝手に落ちたりしないようです。スバラスイ。
電源の発熱もあまり気にならないので、疑似パルスだけ供給してFANレスにするのもアリかも。


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2011年7月28日木曜日

Atom600の開発ボード

TX-50開発キットをイノテックさんからいただきました。

<引用開始>
TX-50は、インテル® Atom™ プロセッサーE600番台 (1.60GHz~600MHz)を搭載したUltra Embedded Moduleで、5V単一電源で動作する超小型・薄型・低消費電力のファンレスCPUモジュールです。
<引用終わり>

いただいたボードは、ベースボードT1にTX50が乗っかっているタイプでした。
USBとか、RGBとか、URTとか、いろいろI/Oが付いているので、すぐ使えそうです。


NetBSDを動かさないとダメでしょうね。時間とれるかな。。。

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2011年7月27日水曜日

PINアッテネータ

PINダイオードは順方向電流値によって抵抗が変わるデバイスです。
整流用ダイオードなどは、P型半導体とN型半導体が接合してできていますが、
PINダイオードはPとNの間に真性半導体層(実際には高い固有抵抗を持つ半導体層)を
挿入してあります。

ダイオードの順方向にバイアスをかけると、低インピーダンスでレジスタンス成分が優勢となり、
逆方向にバイアスをかけると、高インピーダンスでリアクタンス成分が優勢となります。
この性質より、高周波回路では直流バイアスをかけることで、スイッチ回路や
アッテネータ回路が簡単に作れ、さらに特性をコントロールできるので大変便利です。

PINダイオードを利用したアッテネーターを、PINアッテネーターと呼びます。
通常の固定抵抗のアッテネータには、下図のようにπ型、T型やブリッジT型などがありますが、これらの抵抗成分をPINダイオードに置き換えたものがPINアッテネータとなります。

下図はHPのアプリケーションノートにあった、PINダイオードを利用したアッテネータ回路です。
今回はこの回路を使うので、HPのPINダイオードがあるといいですが。。。


こういう時は秋葉の鈴商でしょう。案の定ありました、HSMP-381F
ただし通販限定ですけどw
このくらいの回路だったら、生基板にカッターでパターンを刻めばいいですね。
部品が届いたら作ってみましょう。

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2011年7月25日月曜日

Vrms, Vp-p, P(mW), P(dBm)の換算

正弦波や方形波の実効値Vrmsとピーク電圧幅V(p-p)、電力P(mW)、レベルP(dBm)などの換算のメモです。

  • Vp-p (peak to peak)
  • Vrms (root mean square)
  • Vp (peak)
1. 実効値
正弦波の場合
Vrms=V(p-p)/(2√2)
方形波の場合
Vrms=V(p-p)/2

2. 電力
P(W) = E x I = E x E/R = Vrms2/R  (R=負荷)

3. 信号レベル
50Ω負荷では 1mW を 0dBmとするので、
例えば50mWをdBm換算すると、
P(dBm) =10 x Log(50) =10 x 1.6989 = 16.989 dBm
となります。

例題
インピーダンス50ΩのラインにV(p-p)が750mVの信号を与えた時の、Vrms、P(mW)、P(dBm)を求めなさい。

答:
Vrms=750/(2√2)=265mV
P(mW)=0.265 x 0.265 / 50 x 1000=1.41mW
P(dBm) =10 x Log(1.41)=1.48dBm


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《追記》早見表作りました。
ダウンロードしてご自由にお使いください。ただし、有効数字の桁は合わせていません。

2011年7月24日日曜日

トラッキングジェネレータ(3)

前回、トラジェネの固定周波数226.42MHzの発振器を組み上げました。今回はいよいよPICのプログラムと動作確認です。
VCOをコントロールするADF4113HVには24ビットのシフトレジスターがあり、入力されたパラメータを3個の機能ラッチに格納します。パラメータの入力はLE、CLK、DATAの3線でコントロールし、CLKの立ち上がりのエッジのタイミングで、MSBファーストで24ビットのシフトレジスターに格納されます。そして、LEの立ち上がりエッジで指定した機能ラッチに転送されます。

データシートによれば、 パラメータのリセットを含めた機能ラッチへのパラメータ格納操作を4回行うことで設定が完了するとあったので、タイミングチャートに逸脱しないようにPICの制御プログラムを組んでみました。
多少のんびりですが、20ms以内にはデータ入力完了です。
こんな感じでパラメータを入力してあげると、PLLがすぐに作動し目的の226.42MHzが出力されます。

トラジェネに使うためには、もう少し手を加えないといけません。それは出力レベルの調整機能です。
この発振器の出力レベルを可変にすることで、トラジェネの出力信号のレベルを可変することにします。このために、PINダイオードによるアッテネータを作り、0dBm~-30dBmくらいの調節を目標にします。ついでに、VCOから出ている高調波の除去のためにローパスフィルタも入れておきましょう。

(4)へ続く

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2011年7月23日土曜日

電源トランスの二次電圧を調整

電源トランスを探していると、必要な二次電圧にあと1V足りないとか、逆にあと1V低かったら使えるのにという場合があります。
こういう時には、コイルをさらに巻いてあげればOKです。同位相で直列に接続すれば昇圧、逆位相であれば降圧になります。

下のトランスは20±1Vくらいのトランスが欲しいなあとジャンク屋をのぞいたときに見つけたものです。二次電圧が18Vと書かれたジャンクトランス(300円)ですが、こいつに0.6mmの線で追い巻きして昇圧したものです。(このトランスでは、9回巻いて約1V)
追加したコイルの一端を、二次端子のどちらに繋ぐかで、昇圧が降圧か選択できます。


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2011年7月22日金曜日

トラッキングジェネレータ(2)

まずは、226.42MHzを出力する発振器を作ります。トラジェネでは、この発振器の周波数がブレずに安定していることが求めらます。今回は固定周波数なので、VCOを簡単にPLLシンセサイザで駆動することにします。
この発振器で使用するVCOは、表面実装でちょうど良さそうなのがdigikeyにあったので、CrystekのCVCO55CW-0140-0250にしました。このVCOは5V電源、チューニング電圧が0.5-10.5Vです。また、VCOに合ったPLL用の石がアナログデバイセズにあったので、サンプル提供をお願いしました。それが、ADF4113HVです。
このPLLシンセサイザは3線インターフェースでデータを入力する必要があるため、その設定用のマイコンをPICで実装することにしました。起動時にデータを入力するだけなので、8ピン小型PICの12F629で十分すぎます。12F629は内部クロック4MHzで駆動し、外部部品は必要なしです。

さて、PLLシンセサイザには位相比較用の基準周波数が必要です。通常、周波数誤差が少ないTXCO(25ppmとか値段がはる!) を使うのですが、うちにはGPS基準の10MHzソースがあるので、これを使うのが手っ取り早いし、超正確だし、リーズナブルです。したがって、基準周波数は外部入力としました。
最後に、PLLシンセサイザのループフィルタの定数(抵抗やコンデンサ)を決めないといけません。アナログデバイセズは、自社PLL用の設計ツール(ADIsimPLL)を無料で提供しており、このツールを用いて設計してみました。

以上の発振器について、いつもの基板CADのEagleを使ってプリント基板を設計してみました。サイズは小さいほど基板が安いため、5cm角のサイズに詰め込みました。






この基板を、格安PCB作成業者のFusionに出してみました。両面シルク、グリーンレジスト有が、5cm角10枚で$9.9で作れます。1枚100円くらい、穴あき基板で作るより安いかも(笑
基板厚さも0.8から2.0mmまで5種類から選択できます。
ガーバーデータをメールで送付し、1-2週間くらいで仕上がって送られてきます。

基板がやってくるまでの間に、他の部品もすべて集めておきました。さて基板が到着しましたが、仕上がりも上々でした。ちょっと安すぎるので仕上がりが不安でしたが、 結果かなり満足です。さっそく、部品を実装してみました。
 (CADの絵と実際の基板が微妙に違っているのは、CADの絵はバグ修正後のデータだからですw)


あとはPICの設定と動作確認です。

(3)へ続く

P.S. この基板ですが、VCOとループ定数を変えれば別の周波数の発振器で使えます。未使用の基板(バグ修正済)がまだあるので、ほしい方にはPICデータも含めて差し上げますので、連絡ください。

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2011年7月21日木曜日

トラッキングジェネレータ(1)

LCフィルタとかを作っても、変なところにノッチがあったり、性能が出なかったりで、周波数特性を調べないと、なかなか使えません。
こういう時は、トラッキングジェネレータ(トラジェネ)が便利です。でも、トラジェネはスペクトラムアナライザ(スペアナ)のオプションであり、ちょっと高価で入手性も悪いです。スイープ機能があるシグナルジェネレータ を使って調べるのも手ですが、ちょっと手元にありません。

スペアナは一種のスーパーヘテロダイン広帯域受信機です。YIG発振器で連続的に発生させたスイープ信号を、入力信号と混合します。このMIX信号をXYスコープのY軸に加え、YIG発振器のスイープ電圧をXYスコープのX軸に加えると、スペアナの信号として観測できます。

うちにあるアドバンテストR4131Cは同じアドバンテストのR3267に比べて性能が劣るのですが、LO1とLO2が裏に出ているので、簡単にトラジェネが作れそうです。《こいつの純正トラジェネは外付けなので当たり前ですが》
まず、オペレーションマニュアルから内部の発振周波数を調べます。一般的に、こういう情報はあまり出ていないのですが、R4131Cのマニュアルには内部ブロック図まで書かれてありました。

マニュアルから細かい周波数の情報を拾ってまとめると、次のようになります。
スペアナの0-3.5GHzの入力信号は、第1LOの4-7.6GHzと混合させ4GHzの第1IFに変換されます。以下同様に、226.42MHzの第2IFに、26.42MHzの第3IFに、最後に3.58MHzの第4IFに順次変換されていきます。また、スペアナの裏パネルには、第1LOの4-7.6GHzと、第2LOの3.77GHzが出ています。
つまり、R4131Cに使えるトラジェネは、第2IFと同じ226.42MHzの周波数に第2LOを混合した4GHzに、第1LOのスイープ信号を混合させたスイープ信号を出力すればいいことになります。

ここで注意することは、トラジェネはスペアナと同じ周波数を発振しているため、漏れ信号が第1、第2LOの出力端子からスペアナに入り込むと、スペアナのノイズレベルが上がってしまうことです。これを防ぐために、スペアナからの第1第2LO出力に20dBのアイソレータを2つずついれ、40dBのアイソレーションを確保します。
下の図は、トラジェネのブロック図です。レベル調整のためのアンプやアッテネータなどの細かいパーツは除いてあります。

たぶんこれでいけるでしょう。DBMの帯域特性の都合上、最終のローパスは2GHzのものになりましたので、トラジェネの出力は0-2GHzです。でも、実用には十分ですね。
広帯域のDBMと3.3GHzのLPFを見つけたので、トラジェネの出力はDC-3.3GHzになりました。
(2)へ続く

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