このブログでは、工作の記録、実験の結果や考察が散逸しないように専ら備忘録に使ってます。プログラムのソースや設計データ等は載せていませんが、詳しく知りたい方がおりましたらコメントいただければ対応します。

所有する主な測定器はこちらです。


2011年10月23日日曜日

LCフィルタの設計(2)

設計に使ったNuhertz社のLCフィルター計算ソフトですが、製品版のFilterSolutionには使用するインダクタを統一してくれる便利な機能があります。コンデンサに比べインダクターは種類が少ないのでかなり助かります。
これを使って前回の回路を作り直してみました。
よく使う定数で構成されてよさそうです。
特性グラフもよさそうです。ではこれを電磁解析してみます。

こっちのほうが前回よりよさそうです。というわけでこっちにしましょう。



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2011年10月22日土曜日

LCフィルタの設計(1)

前回、アンプの基板を作った際、割り付けで余ったスペースにLCフィルタを作れるようにパターンを作りました。
こんな感じの基板です。この基板に適切なインダクタとコンデンサを組み合わせてフィルターを作るんですが、さてどのように設計しましょうか?

このリンク先のページにも解説されていますが、1rad/sec、インピーダンス1Ωで正規化されている係数表を使って目的の遮断周波数などに変換してあげればよいのです。

でも、かなりめんどくさいです。


なので、フィルターの条件(遮断周波数、減衰量、段数など)と、フィルタの種類(LPF,HPF,BPF等)、あとは係数表の種類(バターワース、チェビチェフ等)を入れると自動的にフィルタの定数を決めてくれるツールがあるといいですね。

インターネット上にはオンラインで計算してくれるページがあって、これとかこれとかこれとか使えます。
オフラインツールもいくつかありますが、Nuhertz社LCフィルター計算ソフトなんか特におすすめです。無償版の"Filter Free"は段数が3段までに制限されていますが、実用的にはそれくらいで十分というのがほとんどでしょう。

ではここから実際に設計していきましょう。作るのはトラジェネの発振器から出力される226.42MHzの信号に混ざっている不要な信号です。ほとんどがVCOからのノイズや高調波です。こいつを除去します。
  1. フィルタはバンドパスフィルター(BPF)とします。
  2. n倍高調波が見られます。なので、それほど急峻な特性を持っていないバターワース・フィルターでもいけそうです。
  3. 通過する中心周波数は230MHz、帯域幅は100MHzとします。
  4. フィルターの段数は3段としました。
  5. 入出力インピーダンスは50Ω
  6. π型の素子構成
 ツールはこんな感じで入力します。

こんな感じで、結果が回路図で出てきます。

またAWR高周波シミュレータを持っていると、左側のEXPORTというところに「AWR Direct」というリンクが出来ます。これを選ぶと自動的にデータがAWRに転送され、回路解析して波形を表示してくれます。
実際には、こんなふうに回路図を作ってくれて
波形をだしてくれます。

でもよく回路図を見てみると、15.04nHとか31.83pFとか実際の部品にはない値です。これを実際に売っている系列数値に直してもう一度波形をみないといけません。しかも部品箱を見たら160nHが無くて150nHを使うことにしました。
AWRに転送された回路図の定数を15nH、33pF、150nH、3pFに変更して、もう一度解析し波形をだしてみました。
すこし波形が崩れてしまいましたが大丈夫そうです。

ちなみに、このNuhertz社のLCフィルター計算ソフトですが製品版のFilterSolutionだと系列の一番近い定数に自動的になおしてくれる機能もあります。
青字が修正されたところです。 自分の手持ち部品リストも登録できるので便利です。
また、特性グラフも書いてくれます。
こんな感じで出てくるので、フィルタ特性の概要を見るにはよいでしょう。
次に、この回路を実際に基板に乗せるために、電磁解析シミュレーターで解析してみます。
 いつもの通り、こんな感じで基板に配置してみます。
さてシミュレーションの結果はAWRシミュレーションの結果と同じでした。
次回はこのフィルタを作って性能を見てみましょう。

本来なら、ネットワークアナライザやトラジェネがあればこういうフィルタの評価は簡単になるのですが、これができないとトラジェネができないということなので仕方ありません。SGとスペアナで測定してみます。



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2011年10月20日木曜日

I/Oてんこもりデータロガー基板(3)

先日基板が到着したI/Oてんこもりデータロガー&コントロール基板ですが、なかなか組み立てる時間がとれないです。
ですが、ゆうべ隙をみて組み立ててみました。こんな感じです。
 これを格納するケースは、タカチの汎用ケースにパネル穴をあけて作ろうかと思います。
ファームウェアは、前回のrev1用ファームを改造して、温度調節とSSR制御を追加します。



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2011年10月18日火曜日

トラッキングジェネレータ用広帯域アンプ(5)

先日、3.5GHzまで使える広帯域アンプを設計して基板を発注しましたが、今日届きました。
下が設計データです。
そして、これが今日届いた基板です。グリーンレジストは電源レギュレータ部分だけにとどめ、あとはレジスト&メッキなしにしてあります。また、基板の下1/3は余ったのでLCフィルターの実験基板にしてみました。
毎週のように基板を作っているのですが、やはり高周波回路というのは、きれいに作ればそれなりに良い特性を示すものです。
このクオリティで、基板の単価が穴あき基板を買うより安いとあれば、作ってもらった方がよいに決まっています。これからも、何か作るときは、すぐ基板を設計して発注したいと思います。

今回のアンプは、さっそく性能を評価してレポートします。



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2011年10月16日日曜日

負帰還による広帯域アンプの設計と製作(3)

前回まで、負帰還のエミッタ接地増幅回路の定数のうち、抵抗値を実際に求めました

設定ゲイン12dB、電源電圧12Vのときの抵抗値は以下の通りです。

RC=990Ω(430Ωと560Ωの直列接続)
R1=3.8kΩ
R2=1.2kΩ
RF=220Ω
RS=6Ω
RE=187Ω(330Ωと430Ωの並列接続)

次は、バイパスコンデンサC1~C3の値ですが、目的の周波数帯の信号を素通しするような容量にしないといけません。必要があれば異なる容量のコンデンサを並列接続しても構いません。

理想的なコンデンサは、周波数が高くなるにしたがってインピーダンスは直線的に減少します。実際のコンデンサも周波数が高くなるとインピーダンスは下がりますが、ある周波数を超えると逆にインピーダンスが上昇し始めます。その周波数の領域ではコンデンサはキャパシター成分よりもインダクタンス成分が強くなるためです。つまりコイルとして働いています。

このように、実際のコンデンサはコンデンサとコイル(と抵抗成分)が直列、並列に接続したようなモデルで考えられるので、その共振点を考慮しないといけません。

さて、今回の広帯域増幅回路の周波数帯はDC~1GHzです。この周波数帯の信号が素通りになるように(反射が無いように)しないといけません。これを電磁解析シミュレーターで解析したいと思います。

まず0.1uFだけで解析してみました。
S11の反射特性を見てみると、DC近くで-36dB、1GHzで-28dBでなかなかいい感じです。でももうすこし落としたい気がします。そこで、0.068uFを並列に接続して、特性をみてみました。
DC近くで-40dB、1GHzでも-41dBで、だいぶ改善しました。
さらにDC近くの反射特性を下げたいので、今度は1uFと0.1uFの組合せで並列接続して解析しました。
DC近くの反射は-56dBとなりました。バイパスコンデンサはこれでいきましょう。
今回まで決まった定数を入れた回路図を上に示しました。次回は全体をまとめてシミュレーションしてみます。


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