こんな感じの基板です。この基板に適切なインダクタとコンデンサを組み合わせてフィルターを作るんですが、さてどのように設計しましょうか?
このリンク先のページにも解説されていますが、1rad/sec、インピーダンス1Ωで正規化されている係数表を使って目的の遮断周波数などに変換してあげればよいのです。
でも、かなりめんどくさいです。
なので、フィルターの条件(遮断周波数、減衰量、段数など)と、フィルタの種類(LPF,HPF,BPF等)、あとは係数表の種類(バターワース、チェビチェフ等)を入れると自動的にフィルタの定数を決めてくれるツールがあるといいですね。
インターネット上にはオンラインで計算してくれるページがあって、これとかこれとかこれとか使えます。
オフラインツールもいくつかありますが、Nuhertz社のLCフィルター計算ソフトなんか特におすすめです。無償版の"Filter Free"は段数が3段までに制限されていますが、実用的にはそれくらいで十分というのがほとんどでしょう。
ではここから実際に設計していきましょう。作るのはトラジェネの発振器から出力される226.42MHzの信号に混ざっている不要な信号です。ほとんどがVCOからのノイズや高調波です。こいつを除去します。
- フィルタはバンドパスフィルター(BPF)とします。
- n倍高調波が見られます。なので、それほど急峻な特性を持っていないバターワース・フィルターでもいけそうです。
- 通過する中心周波数は230MHz、帯域幅は100MHzとします。
- フィルターの段数は3段としました。
- 入出力インピーダンスは50Ω
- π型の素子構成
こんな感じで、結果が回路図で出てきます。
またAWR高周波シミュレータを持っていると、左側のEXPORTというところに「AWR Direct」というリンクが出来ます。これを選ぶと自動的にデータがAWRに転送され、回路解析して波形を表示してくれます。
実際には、こんなふうに回路図を作ってくれて
波形をだしてくれます。
でもよく回路図を見てみると、15.04nHとか31.83pFとか実際の部品にはない値です。これを実際に売っている系列数値に直してもう一度波形をみないといけません。しかも部品箱を見たら160nHが無くて150nHを使うことにしました。
AWRに転送された回路図の定数を15nH、33pF、150nH、3pFに変更して、もう一度解析し波形をだしてみました。
すこし波形が崩れてしまいましたが大丈夫そうです。
ちなみに、このNuhertz社のLCフィルター計算ソフトですが製品版のFilterSolutionだと系列の一番近い定数に自動的になおしてくれる機能もあります。
青字が修正されたところです。 自分の手持ち部品リストも登録できるので便利です。
また、特性グラフも書いてくれます。
こんな感じで出てくるので、フィルタ特性の概要を見るにはよいでしょう。
次に、この回路を実際に基板に乗せるために、電磁解析シミュレーターで解析してみます。
いつもの通り、こんな感じで基板に配置してみます。
さてシミュレーションの結果はAWRシミュレーションの結果と同じでした。
次回はこのフィルタを作って性能を見てみましょう。
本来なら、ネットワークアナライザやトラジェネがあればこういうフィルタの評価は簡単になるのですが、これができないとトラジェネができないということなので仕方ありません。SGとスペアナで測定してみます。
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