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2017年8月12日土曜日

アナログデバイセス社のSDR検証ツール ADALM-PLUTO [その1]

SDRというものがあります。Software Defined Radioの略で、ソフトウェアラジオ、ソフトウェア無線機と呼ばれます。

ラジオや無線機というものは、様々な周波数帯、出力、変復調方式などでハードウェアの構成が決まってしまうため、専用の半導体素子等で作りこまれるものです。例えばラジオでもAMラジオとFMラジオでは大きさから内部の半導体に至るまですべてが異なるのが普通です。

昨今、半導体技術の進歩により低価格で処理速度が高いCPUが出てきました。したがって、高度な信号処理をソフトウェアで行うことが可能になったわけです。
簡単に言えば、AMラジオとFMラジオのそれぞれの機能をプログラミングで実現してCPUで実行させることで、AMラジオとFMラジオの両方の機能を1つのハードウェアで実現できてしまいます。また、新しい機能を追加することもソフトウェアでならば容易です。

このように、これまで専用の半導体を組み合わせて設計してきたハードウェアとしての無線機を、汎用のハードウェア上で実行する1つのソフトウェアに置き換えてしまうことが個人レベルでも実現できてしまったということです。

例えば、ラズベリーパイのような汎用で高性能なCPU基板であれば、FMラジオや無線機を作ることも可能ですが、そもそも無線機というのは最終的に電波を送受信することが必要です。ラズパイでは送信する手前の信号を作ることはできても、ラズパイの端子をアンテナに接続しても電波を送受信することはできません。

ソフトウェア無線機によって生成された電気信号を、実際の電波にしてアンテナから放出する、もしくはアンテナで受信した電波を取り込んでソフトウェア無線機に供給するためには専用の送信・受信の素子が必要です。
つまり、実際にソフトウェア無線機を実験するためには、ラズパイのようなCPU基板の他に、電波を送受信するためのRFモジュール・基板が必要です。
これまで、CPU基板+RF基板でSDRを実現できるキットは多く発売されていますが、どれも個人では簡単には買えない値段です。(10万円以上は普通)

そんな中、アナログデバイセズ社から低価格(149$)で高性能のSDR検証機器(ADALM-PLUTO)が発売されました。あまりの性能とコストパフォーマンスの良さにあっという間に在庫切れ、やっと今月になって入手できるようになりました。昨日届いたので早速開けてみます。
こんな箱に入ってます。中身はこんな感じ
USBでPCに接続し、送受信のSMAコネクタが出ています。
付属品としてRFアンテナ2本と、ループバック用同軸ケーブルが入っていました。
性能としてはこんな感じです

  • 送受信用LSIとして、AD9363を内蔵
    • LOは325MHzから3.8GHz
    • 信号帯域は20MHz
    • ベースバンドサンプルレートは520kHzから61.44MHz
したがって、この機器でAM変復調からLTEまで対応可能です。またソフトウェア無線機を搭載する部分は、Xilinx社のFPGA、ZYNQ7010が搭載されています。このFPGAにはCoretexA9のCPUも搭載されています。


PC側での制御ですが、MATLAB/Simulink を使っていろいろな実験を行っていきたいと思います。
今日はとりあえずここまで。



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