このブログでは、工作の記録、実験の結果や考察が散逸しないように専ら備忘録に使ってます。プログラムのソースや設計データ等は載せていませんが、詳しく知りたい方がおりましたらコメントいただければ対応します。

所有する主な測定器はこちらです。


2011年8月29日月曜日

オシロスコープの修理 (Tektronix 2430A)その2

2430Aの修理は無事完了と思ってたんですが、どうもCh.2の接触不良が改善しません。コネクタを揺らすと、信号が途切れたりします。
これは内部で半田クラックになってると踏んで、再び分解しました。
入力部はアッテネータユニットに接続されてからアンプに入るようになっています。このアッテネータユニットはシールドケースに入ってねじ止めされています。狭いところのねじを外すのがめんどいですが、なんとかはずしました。

アッテネータユニットのシールドを取ってみると、やはり入力(BNC)からアッテネータ基板(写真の白い基板)までの線が外れかかっていました。半田で接続した後、仮組みし、もう一度チェックです。

今度はうまくいったようです。

元通りにして、めでたしめでたし。


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2011年8月28日日曜日

オシロスコープの修理 (Tektronix 2430A)

調子が悪く要修理で放出されたテクトロのオシロを、とっても安くゲットしました。
Tektronixの2430Aという、150MHz 2chのデジタルオシロスコープです。
1980年代後半の製品で、当時150万くらいしたでしょうか。
しっかりとした作りなので、まだ十分動くと思います。

で、今回のオシロの症状をチェックしてみました。
まず、電源スイッチをポチっと。起動してファンが回り(ファンが回るのは結構重要なポイントです。)、自動的に自己診断が開始します。
全PASSです。コネクタやつまみなども異常ないようです。

んー、5分くらいしてから再びDIAGを行います。
すると、CCD関係のゲインがFAILし、ほかにもいろいろFAILしだしました。こりゃいかんですね。

次に波形を見てみようかなと基準信号を入力したところベースが安定しません。上下に波形ががふらつく感じ。
またCh.2の垂直ポジションつまみを動かすと、通常なら波形を上下に動かせるんですが、こいつは勝手に動いてしまいます。上か下に行きっぱなしで波形が見えなくなっちゃいました。
さらに時々Ch.2に入力できなくなります。
重症ではないですが、使用するには支障をきたすレベルです。

さて、症状はわかったので原因と対策を考えましょう。
まず、通電直後は問題ないのに時間がたつとおかしくなるのは、冷却がうまくいってなくてオーバーヒートしている可能性が高いです。テクトロの2400シリーズは熱にシビアなので、ほこりが放熱板とか部品にくっついて風の通りが悪くなってるんじゃないかなあと予想。
つうわけで、ふたを開けてエアーダスターで吹き飛ばすことをやってみましょう。
波形のベースが安定しないのも、冷却がうまくいってないからでしょう。

次に波形のポジションつまみですが、回路図を見るとこの部分は可変抵抗器になっていました。たぶん可変抵抗器内部の接触不良です。軸の隙間にポリコールを垂らせば直ると思います。

では、本体をばらして中身をとりだします。さすがテクトロって感じの作りですね。本体下部には発熱する素子がてんこ盛りです。
内部のほこりをエアーダスターで吹き飛ばし、細かい掃除を行います。次にフロントパネルを分解し、接触不良と思われるボリュームの軸から内部へポリコールを浸透させます。
信号のコネクタも接触不良っぽくなってそうなので、ついでにポリコールをたらします。
いよいよ通電をしてみると、なかなかよいようです。対策はドンピシャっていうところでしょうか。

ここで、扇風機を本体の下部にあるヒートシンク群に向け、送風開始です。
なぜかというと、本体カバーがクローズになっているときは冷却ファンが風道を作って全体が冷えるんですが、校正等でオープンにしている場合には、強制的に内部を冷やさないとオーバーヒートするからです。
校正マニュアルにも、これをやらないと素子が破壊されることもあるよと、要注意事項として書いてありました。

まず、安定性のチェックとして、しばらく放置して何回か自己診断をしてみましたが問題ありません。

こんな感じで、全チェックPASSしています。
あとは校正を行います。校正するときは、サイドの基板にあるJ156のショートプラグを引き抜くことで、メニューのEXTCALが有効化されます。メニューの指示通りにキャリブレータから所定の電圧を印可して校正します。この辺はさすがデジタルオシロ、簡単になってます。
ショートプラグを元に戻し、最後にケースを元通りにして終了です。
テスト信号を入力してみましたが、Ch1,2とも問題ありません。
往年の名機が復活して喜ばしいのですが、活躍の場はあまり無さそうなのが残念です(笑


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2011年8月24日水曜日

ネットワーク・アナライザの校正基板(1)

ネットワークアナライザーを使ったことがある人は、測定の基準点の校正をしないと役に立たないことを知っているでしょう。

このブログの最初の方で、高周波を評価するには電力を使うのが普通ですと書きましたが、ネットワークアナライザは位相と振幅を測定することで、電力の入出力および反射を表示する測定器です。(ネットワークアナライザにはベクトル型とスカラー型があって、前者は位相と振幅を見ますが、後者は振幅のみを見ます。)
一般的なネットワークアナライザにはポートが2つあり、その2つのポートの間に測定する回路等を入れます。この回路等を分布定数回路の2端子回路とみなし、そのSパラメータを測定するのがネットワークアナライザです。

数GHzから数十GHzの周波数になると、1λ(波長)が数センチから数10センチの長さになります。さらに伝送路がプリント基板上の配線になったり同軸のように誘電体に囲まれると、さらに波長が短縮します。つまり、高周波では伝送路つまりケーブルの長さにシビアであるということです。
先ほどのネットワークアナライザは位相を見るので、このケーブルの長さを考慮しないと、結果が違ってきてしまいます。

そこで、ネットワークアナライザを使う時には、実際に測定する素子や基板と、ケーブルの接点までの経路を校正してあげる必要があります。一番最初に書いた測定の基準点というのは、この校正をすることでした。
この校正作業に必要なものが、キャリブレーションキットと呼ばれている高価なコネクタです。


ですが、これらはコネクタの形状なので測定する基板の端っこまでの経路は補正できますが、基板上の配線までは補正できません。基板上の配線長が影響を及ぼすような周波数を扱う時には、キャリブレーションキットと同様な機能を持つプリント基板を作らないといけません。

今回は、このカスタムなキャリブレーションキットのお話です。

比較的低い周波数(10GHz未満)では、SOLTと呼ばれる校正を行います。SOLTは、Short、Open、Load、Thruの4つの頭文字をとったものです。
Shortは、信号線とアースを短絡しています。
Openは、逆に信号線は開放です。
Loadは、50Ωや75Ωなどの終端抵抗がされています。
Thruは、50Ωや75Ωなどのインピーダンスを持った線路の両端にコネクタがあり、信号は素通しです。

この4つについてインピーダンスでみてみると、
Shortは短絡しているために、入力信号と逆位相の信号が入力側に跳ね返ってきます。
Openはその逆で、入力信号と同位相の信号が入力側に跳ね返ってきます。
Loadは、インピーダンスがマッチしており、入力信号の反射がゼロになります。
Thruは、信号損失がほとんどなく入力信号が出力側から出てきます。
このようにインピーダンスがゼロ、∞、50Ω/75Ω等の時の位相差等をネットワークアナライザに覚えさせることで校正が行えます。


次回は、これらを基板上に作るときに、シミュレーターを使うお話です。


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2011年8月20日土曜日

基板発注(1GHz Amp & PinDi-ATT)

ちょっと前の記事のPINダイオードのアッテネータと、前回設計した1GHzのアンプですが、配線パターンを5cm角の基板に詰め込んで格安基板屋のFusionに出してみました。
いつもはEagleを使って回路図から基板を起こすのですが、今回は電磁シミュレータのSonnetで作った配線パターンを使います。

前回設計した1GHzのアンプは1.6mm厚の基板で設計しましたが、基板屋には0.8mm厚の基板で発注することにしたので、シミュレーションをやり直しました。結果はほとんど変わらず、マイクロストリップラインの幅が1.4mmになっただけでした。

Sonnetで作った配線パターンをフリーの基板エディタのPCBEでトレースしました。あとは、スルーホールやネジ穴のホール関係、SMAコネクタなどの部品、これら足りない部分を補い、シルクを書き込んで完成です。
PCBEは、ベタGNDでのランドの窓開けを手動でやらないといけないので注意です。Eagleでは自動的にベタランドの境界をつくってくれるので、これに慣れちゃうと忘れて大変なことになりそう。

垂直取り付けのSMAコネクタとストリップラインの整合が気になるところですが、まあ1GHzくらいなら大丈夫かな。下のPIN-D ATTの基板なんかはトラジェネの226.42MHzで使うので問題なし。

さて、こんな感じに基板にミシン目を入れて、上部をアンプ基板、下部をアッテネータ基板にしました。
10枚で送料込みで約1000円です。

あいかわらず安い。。。


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2011年8月17日水曜日

電磁解析シミュレータによるRFアンプ設計(5)

高周波トランジスタBFS505のアンプ回路をシミュレーションで設計していますが、
今回は、整合したトランジスタ部分回路にバイアス回路を接続し、さらに入出力のカップリングコンデンサを追加して、最終的なアンプ回路を構築しました。
この回路を電磁解析してみます。 ポート1がRF入力、2がRF出力、3が直流電源8Vのポートです。

下に示したように、整合回路のみの結果と比べ、S11とS12のピークがすこしずれています。利得S21は、おおむね16dB以上とれています。
また、電源端子と出力端子の結合を示すS32は、-60dB以下となっており、信号の漏れや回り込みは低く抑えられそうです。


S22のピークが少し低周波側にずれているので、L2を28nHに変更してS11に合わせてみました。そのため、1GHzまでの利得は15dBから18dB程度のフラットな特性を示しています。

今回はチップ部品を多用しましたが、チップ部品は浮遊容量とインダクタンス成分があるので、それを考慮しなければいけません。それらを考慮して解析したのが下図になります。出力ポートと電源ラインの結合S32の低周波数側が高くなっていますが、目的の1GHz付近で-58.5dBなので問題ないようです。

あとは、実際に組んでみてチェックを行う予定です。

できあがったら、また書きます

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