このブログでは、工作の記録、実験の結果や考察が散逸しないように専ら備忘録に使ってます。プログラムのソースや設計データ等は載せていませんが、詳しく知りたい方がおりましたらコメントいただければ対応します。

所有する主な測定器はこちらです。


2011年9月18日日曜日

電磁解析シミュレータによるRFアンプ設計(6)

更新を10日もさぼっていたら、ランキングが54位とかに落ちてました。
なかなかきびしいですね。

さて、先月から掲載してる「電磁解析シミュレータによるRFアンプ設計」ですが、先日送られてきた基板に部品を実装してみました。
↓こんなかんじです。
設計通りのサイズの部品が在庫に無かったことが判明し、とりあえずサイズの大きい部品を無理やりつけてみました。

シグナルジェネレータから任意の信号(700MHz-1000MHz)を0dBm加え、増幅された信号をスペアナで観測してみたのが下の図です。横軸は周波数(MHz)、縦軸は信号レベル(dBm)です。
 ピークが850MHzで設計とずれており、増幅度も約9dBmと設計値より低めです。部品サイズが違うために寄生容量とか誘導成分が多くマッチングがずれたと思われます。

部品をそろえて、また作り直してみるつもりです。


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2011年9月8日木曜日

PINアッテネータ完成

更新をさぼってました。なにせロボットにFXをやらせてたら、ことのほか面白かったもので。。。

さて、以前書いた「PINダイオードによる可変アッテネータ」の基板が先週できたので、組み立ててみました。
このアッテネータは固定電圧5Vを基板下部のランド(緑のリード線)に加え、基板上部のランド(赤いリード線)に+15Vから+0Vまで可変電圧を印可することで、減衰量が変わるアッテネータとなります。

性能をチェックするために、3種類の周波数(1GHz、800MHz、250MHz)をシグナルジェネレータから加え、電圧を可変して減衰量を調べてみました。下のグラフがその結果です。
3つのグラフの形状はほとんど同じとなり、特に1GHzと800MHzは重なっていました。
10.5Vあたりから、がくんと減衰量が増え、2V付近で急激に落ち込むようなグラフとなっています。

だいたい11Vから1Vくらいまでを可変範囲にすれば、0dB~-30dBくらいをカバーできるアッテネータとなりそうです。

これをいま作ってるトラジェネの出力調整に使おうと思います。


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2011年9月4日日曜日

基板到着(1GHz Amp & PinDi-ATT)

先月の20日に格安基板屋に発注していたブツが到着しました。下が設計データです。
割り付けの端数がでるんでしょうか、いつも10枚頼むと12枚入ってます。下が実際の基板です。
値段の割に、とてもいい出来です。

さっそく、あとで実装してみましょう。


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2011年9月3日土曜日

オペアンプの直線性とデータロガー

いきなり、引用から始まります

サーベイメータ

携帯用の放射線測定器。アルファ線、ベータ線、ガンマ線及び中性子線用のサーベイメーターがある。検出器の種類には電離箱式、GM管式、シンチレーション式などがある。
測定内容として、空間放射線量率測定(ガンマ線)や放射能表面汚染測定(ベータ線)の検査などに用いられる。
サーベイメータ
右から電離箱式、NaIシンチレーション式、GM管式
(引用終わり)

ちょっと仕事で、このサーベイメータのデータを自動収集するデータロガーを作りました。

今日のネタは、このデータロガーで使うオペアンプの増幅性能のお話がメインです。

上にあげたサーベイメータにはペンレコーダー用にフルスケール10mVのアナログ信号が出ています。データロガーを作るには、この電圧値を拾ってPCに格納するアダプタを作ればOKですね。
ここではPICを制御に使おうと思います。PICのA/Dコンバータでデータをサンプリングし、PCとPICをUSBで接続します。USBコントローラーとA/Dコンバータを両方内蔵しているPICとしてはPIC18F2550がありますので、これを採用します。

まず、サーベイメータの出力電圧をA/Dコンバータでデジタル値に変換するのですが、このPICのA/Dは分解能は10ビットです。電源が5Vなので約5mV刻みでしか測定できません。
フルスケール10mVは、PICのA/Dコンバータの分解能から見ると低すぎるので、A/Dコンバータで変換する前に増幅する必要があります。
オペアンプの非反転増幅回路で約100倍に増幅すればフルスケールは1V程度になり、扱いやすくなります。
上図に、オペアンプによる非反転増幅回路を示します。

さてオペアンプは何を使いましょうか?サーベイメータからの出力電圧は測定値に対してリニア(直線)で出力されているので、これを増幅する回路にも直線性が求められるのは当然ですよね。
そしてサーベイメータからの出力電圧が最大10mVという条件があるので、このような低い電圧のところでも増幅回路に直線性があるかどうか調べないといけません。
ここで、手持ちのオペアンプの中で、高性能オーディオ・オペアンプOPA2134、高出力オペアンプNJM3414、汎用オペアンプLM358の3つを候補に選び出しました。すべて5Vの単電源で動作し、秋葉原とかで普通に売っているICです。

さて、それぞれのICに標準電圧発生器から電圧を印可して出力がどのように変化するか見てみます。横軸は入力電圧(mV)、縦軸は出力電圧(mV)を示します。

1)OPA2134
いきなり、これは×です。直線の回帰式にも乗ってないです。まあ、オーディオ用なので仕方ないですね。

2)NJM3414AD
これはなかなかよさそうです。1mVから5mVまできれいに直線になっています。しかし1mV以下の低いレンジでは0.6mVくらいで出力電圧が0Vになってしまいます。どうやらオフセットが足りないようです。

3)LM358
これもNJM3414と同様に直線性があるようです。さらに1mV以下の低いレンジでも適度なオフセット電圧があり直線性は十分です。入力信号の電圧は0Vから使えそうです。

今回はこのオペアンプを採用しましょう。

あとは基板を設計して組み立てます。いつもの通り、基板パターンはEAGLEで設計し、FUSIONに基板を発注しました。
PICを含めた全回路の説明はここでは行いませんが、下図のようなものを作りました。PICにはオペアンプの出力の他、基準電圧ICの2.5Vを入力することで、測定値の補正を行うようにしてあります。


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2011年9月1日木曜日

ネットワーク・アナライザの校正基板(2)

前回、キャリブレーションを行う方法にSOLT校正があると書きました。
SOLT校正kitは、メーカーからコネクタ状で提供されるため、同軸コネクタがついたDUT(簡単にいうとテストする回路やモジュール)にしか使えず、基板上のマイクロストリップラインには使えませんと、物の本には書いてあります。また、基板上のマイクロストリップラインの校正にはTRL法が使われますともあります。



このTRL法はThru-Reflect-Lineの略で、簡単にいうと線路長の違う回路を測定して、その位相差を既知の値(線路長から計算できる)と比較校正するというものです。
このTRL法の他にも、いくつか校正法が存在します。
  • LRL (Line-Reflect-Line)
  • LRM (Line-Reflect-Match)
  • TRM (Thru-Reflect-Match)
TRL法の注意点としては、線路長の差が位相差20"から160"に入るように測定周波数の範囲が決まってしまうことです。つまり広帯域の校正が行えないということです。

ちょっとTRL法のお話をしました。これは基板上に長さの異なるマイクロストリップラインをつくるだけでいいので、作成が容易です。(基板1枚にマイクロストリップラインが1本のものを作るといい)

ですが、最初に出てきたSOLT法も、TRL法と同様に基板上にマイクロストリップラインで作ることができるはずです。もちろん、例えばLOADは、基板上に作った線路で整合しないといけないので広帯域なものを作るのは難しいですが、そこそこのものは作れるはずです。

次回は、SOLT法やTRL法について、マイクロストリップラインで作るときの設計(パターンとか長さとか)について書こうと思います。


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