このブログでは、工作の記録、実験の結果や考察が散逸しないように専ら備忘録に使ってます。プログラムのソースや設計データ等は載せていませんが、詳しく知りたい方がおりましたらコメントいただければ対応します。

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2011年10月11日火曜日

負帰還による広帯域アンプの設計と製作(1)

以前、電磁解析シミュレータがどのくらい使えるのか試すために、高周波トランジスタを用いたRFアンプを設計製作しました。
トランジスタ増幅回路の設計と、コンデンサとインダクタによる入出力インピーダンスの整合をシミュレーションで行い、実際に基板を作成して期待通りの性能が出ることを確認しました。
しかし、コンデンサとインダクタで整合をしたので、周波数帯域(一般に減衰量3dBの範囲)はそんなに広くありませんでした。(まあ、当たり前ですが)

このblogでも広帯域アンプなら高周波広帯域増幅用MMIC(Microwave Monolithic IC)だということで、ミニサーキット社のMMICを好んで使用していますが、技術力が落ちていきそうでちょっと心配になってきました。

ここで、ちょっと初心に戻ってトランジスタを使って広帯域アンプを作ってみようかなと思います。
(blogネタ切れなんじゃないか?というつっこみはスルーです)
トランジスタの増幅回路には、エミッタ接地、ベース接地、コレクタ接地など回路がありますが、今回はエミッタ接地回路です。ですが、ちょっと違うのは広帯域アンプを作るために、負帰還を行うということです。負帰還とは、出力の一部を入力に戻してあげることで、これにより全体の出力が一定になります。
この負帰還の増幅回路の帯域幅は、トランジスタのトランジション周波数の10%くらいになります。


さて、高周波トランジスタを用いたRFアンプの設計製作で使ったBFS505という石がまだ余っています。もったいないので、これを使いましょう。この石のトランジション周波数は9GHz程度なので、DC~1GHzくらいの広帯域増幅回路を設計しましょう。

まずいつものとおり、トランジスタ回路で重要なバイアス回路を設計します。下の図は、RFアンプでも出てきた、エミッタ接地回路の基本形です。
ちなみに、抵抗R2はコレクタ電流に対して増幅率hfeがほとんど変化しないようなトランジスタの場合には省略しても大丈夫です。RFアンプの設計製作では、抵抗REも使いませんでした。
とりあえず、この回路のまま使うとして、この回路に負帰還回路を挿入します。コレクタを帰還抵抗RFを通してトランジスタのベースに接続してあげます。また、出力については、トランスをコレクタに接続して、出力信号を外に出してあげます。
下の図は、新たに帰還抵抗RF,RS、バイパスコンデンサC1、C2、C3、トランスT(巻線比N:1)を追加した回路図です。

回路図に入力信号の通り道を書き入れました。この負帰還の回路では、エミッタにある抵抗RSでトランジスタ回路の入力インピーダンスが上がります。

入力信号はトランジスタのベースからエミッタに抜け、交流信号であるためバイパスコンデンサC2を経由してGNDに抜けて戻ります。このトランジスタ回路の入力インピーダンスは(1+hfe)×RSとなります。BFS505の増幅率hfeはIc 5mAのとき120なので、この回路は抵抗RSが10数Ωとしても高い入力インピーダンスを持つことになります。

さて、高い入力インピーダンスを持ち、フィードバックを使う増幅回路といえばオペアンプを思い浮かべますが、実は、上の負帰還増幅回路は簡単なオペアンプの中身を作っているのでした。上のトランジスタ増幅回路をオペアンプ記号に置き換えてみます。
高い入力インピーダンスの素子の出力と入力を抵抗でバイパスしてあげると、入力信号は大部分が帰還抵抗に流れていきます。当然、入力インピーダンスは低下します。
このバイパスをする抵抗を帰還抵抗と呼びます。
では、入力インピーダンスがどのくらいの値になるかというと、帰還抵抗RFをオペアンプのゲインAで割った値となります。
ZIN=RF/A

さて、このオペアンプのゲインAはどのくらいでしょうか?このオペアンプの中身はトランジスタ増幅回路です。一般に、トランジスタ増幅回路のゲインは、増幅率hfeに関わらずエミッタの負荷抵抗RCをコレクタの負荷抵抗REで割った値で求められます。しかし、今回の回路では、交流信号はバイパスコンデンサC2とC3を通るため、抵抗REとRCは通らず、下の図の赤線で囲まれた部分を通ります。
したがって、エミッタの負荷は抵抗RSとなり、コレクタの負荷は、トランスの2次側(巻線比Nの側)の交流負荷となります。このトランスの交流負荷は、出力ポートから見た1次側のインピーダンスをZOUTとすると、その巻線数倍(N倍)となり、N×ZOUTになります。
したがって、ゲインAは、 コレクタの負荷(N×ZOUT)をエミッタの負荷RSで除して
A = (N×ZOUT)/RS
となります。

入力インピーダンスの式 ZIN=RF/Aを用いて、Aを消去すれば、
RF×RS = N×ZIN×ZOUT
となりました。
普通は、入出力インピーダンスを50Ωにするので、
RF×RS = N×2500
となります。
また、オペアンプの帰還回路のゲインの式、G = (A-1)2をそのまま使って、
G = (RF/50 - 1)2
となります。

以上のように、トランジスタ増幅回路に負帰還をさせる場合には、まず交流のゲインを決めます。そして、交流信号が適切に増幅されるような抵抗値を決めます。次に、直流でのバイアス回路で動作点を決めます。適切な動作点での抵抗値が決まったら、直流信号と交流信号では増幅回路の定数が異なるので、バイパスコンデンサを用いて抵抗を分離することで両方に対応することができます。

と、いろいろ書きましたが、抵抗値をどのように決めていくかを実際にやってみないとピンとこないと思いますので、 次回はそれを行います。


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2011年10月7日金曜日

トラッキングジェネレータ用広帯域アンプ(4)

トラッキングジェネレータ用広帯域アンプの基板をFUSIONに発注しました。

スタブの形状をさらに改良し、下のグラフのように出力レベルの平坦度が2dBmに収まるようにしました。
アンプ用の電源は、外部から直接8Vを供給するか、三端子レギュレータを使うこともできるようにパターンを用意しました。ノイズ対策のため、電源部分の回路はアースを含めてアンプ回路から分離し、さらに基板にホールをいくつか空けておきました。(FUSIONはスリット穴には未対応なので)

このアンプを5cm角基板の2/3に配置しましたが、1/3が残ってしまいました。
もったいないので、この残り1/3をLCフィルターの実験基板にしてみました。

フィルター基板では、9次までのチェビチェフ/バターワース型のLPF/HPFを作ることができます。マイクロストリップラインのパターンはデフォルト5次(L2つ、C3つ)で、必要に応じてパターンカットで9次まで対応します。

基板が届くのが楽しみです!


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2011年10月3日月曜日

トラッキングジェネレータ用広帯域アンプ(3)

前回シミュレーションした広帯域アンプの回路を少し改良してみました。
格安基板屋で50mm角基板が$10で作れるので、基板の横幅は50㎜で設計しています。
 右側の扇型のスタブの大きさと水平位置を変更して、S22の高周波側のマッチングを改善してみました。

出力レベルの平坦度も、だいぶ改善されました。とりあえず、これで発注してみたいと思います。



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2011年10月2日日曜日

トラッキングジェネレータ用広帯域アンプ(2)

DC~3.5GHzまでの広帯域アンプですが、フラットな特性(もちろん位相がくるくる回ってしまうのは論外)を出さないといけません。

増幅チップは、高周波広帯域増幅用MMIC(Microwave Monolithic IC)を使います。入出力インピーダンスが50Ωに整合されているので比較的簡単に広帯域アンプが作れます。
今回のMMICは、ミニサーキット社のERA-1です。DC~8GHzまで対応するMMICで、4GHzまで+10~12dBm増幅してくれます。これを2段カスケードで使用します。
基板は厚さ0.8mmのガラスエポキシ基板としました。

MMICでは、バイアス回路を経由して必要な電力をチップに供給しますが、高周波信号と電源を分離することが必須です。
この信号と電源の分離回路ですが、前に増幅回路を設計した際にコンデンサとインダクタを組み合わせてチョーク回路を作りました
今回も同様に、インダクタ、バイパスコンデンサとチップ抵抗を取り付けて回路を組んでいきます。
 この回路の電磁解析結果は次の通りでした。
 この結果からは、3.5GHzまで利得は19dBmから24dBmまでの範囲に収まっているのが分かります。またS32も-50dB以下となり、電源と信号の分離はできています。でも、もうすこし改善できるといいかな。

次に、このチョーク回路をミニサーキット社のチョークコイルに交換して設計してみます。
使用するチョークはADCH-80Aで、50MHz-10GHzまで使用可能なチョークコイルです。

ミニサーキット社の製品はSパラメータが公開されているので、シミュレーターで設計するのが容易です。今回も増幅用MMIC、チョークコイルのパラメータをダウンロードして使いました。

さて、以下のように回路を変更しました。チョークコイル(けっこうサイズがでかい)が基板の面積の結構な割合を占めています。
この回路ではさらに出力ポートのインピーダンスマッチングのためにスタブ(右側の扇型のパターン)を2つ挿入してあります。チップ部品のような集中定数ではなく、分布定数のコンポーネンツを入れるのがミソです。
この回路の電磁解析結果は次の通りでした。

DCから3.5GHzまでの利得は+20dBmから+24dBmまでの範囲に収まり、さきほどより改善しました。またS32も-70dB以下となり、電源と信号の分離もずいぶんよくなりました。
S11とS22のスミスチャートを見ると、3.5GHzまで中心に集まっています。
でも、もう少し中心に集まるようにマッチングを改善すると、もっと良い特性になります。

とりあえずの回路はできましたが、もう少し特性をよくするように回路を見直していきます。

今回はここまでとします。


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2011年10月1日土曜日

トラッキングジェネレータ用広帯域アンプ(1)

前回トラジェネのパーツがほぼ揃って、あとは組み立てるだけかなあと思っていたんですが、足りないものがありました。
トラジェネのブロック図のうち、2段目のミキサーの出力を増幅してからLPFに入れないといけないですが、そのアンプが足りません。おそらく2段目のミキサーの出力は-15~-18dBmくらいになるので、20dBmくらいのアンプが必要です。しかもこのアンプはDCから3.5GHzくらいまでGAINがフラットであるほどいいという代物です。

使用周波数がDCから数GHzまでとなると、さすがにMMIC(Microwave Monolithic IC)を使わないと設計が大変です。MMICの入出力インピーダンスは50Ωに整合されているので、整合回路を使わなくてすみます。
あとは、電源のバイアス回路のインピーダンスを考えればOKでしょう。

使うMMICは、前にも使ったミニサーキット社のERA-1です。これを2段にします。3.5GHzあたりまでフラットな性能にしないといけないので、電磁解析シミュレーターを使ってプリント基板の設計も行います。

実際の設計は次回です。


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2011年9月27日火曜日

電磁解析シミュレータによるRFアンプ設計(7.完成)

前回、ちょうどいいサイズの部品(チップインダクタ)が無く、大きいサイズのチップを無理やりつけたら性能が出なかったアンプ基板ですが、夕方、秋葉原に行って部品を仕入れてきました。

#今日はいい天気だったので、日米は営業してました(笑

こんな感じで部品を付け直してみました。

次に、このアンプの性能を再測定しました。下にシミュレーションの解析結果と実測定結果をのせました。

1.実測のS21を見ると、シミュレーションの解析結果と同様に1GHz付近にピークが出ています。 増幅度は約17dBmでシミュレーション結果より3dBmくらい低いですが、コネクタの損失等を考慮すればそんなにひどくありません。

2.方向性結合器(HP778D)を使って入力ポートの反射係数S11を調べてみました。この値が落ち込む周波数で、入力ポートのマッチングが取れていることが分かります。
実測グラフの赤線を見ると、1020MHz付近にピークがあります。これに対応するシミュレーションはグラフの濃い青線です。ピークの位置はシミュレーション通りですが、-30dBmまで落ちてることからマッチングはかなりよく取れていることがわかります。


S21とS11の二つを見てみましたが、他もシミュレーションの結果にマッチしていると思われます。

これまで7回にわたり、電磁解析シミュレーターのSonnetによる高周波回路の基板設計をしてみましたが、このSonnetはかなり使えるツールだという印象です。

シミュレーターで試行錯誤した後、一発で期待通りの動作をする実機をつくるというのは、これまでのアマチュア的製作手法から一歩飛び出す感じがして、とても楽しいです。


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2011年9月18日日曜日

電磁解析シミュレータによるRFアンプ設計(6)

更新を10日もさぼっていたら、ランキングが54位とかに落ちてました。
なかなかきびしいですね。

さて、先月から掲載してる「電磁解析シミュレータによるRFアンプ設計」ですが、先日送られてきた基板に部品を実装してみました。
↓こんなかんじです。
設計通りのサイズの部品が在庫に無かったことが判明し、とりあえずサイズの大きい部品を無理やりつけてみました。

シグナルジェネレータから任意の信号(700MHz-1000MHz)を0dBm加え、増幅された信号をスペアナで観測してみたのが下の図です。横軸は周波数(MHz)、縦軸は信号レベル(dBm)です。
 ピークが850MHzで設計とずれており、増幅度も約9dBmと設計値より低めです。部品サイズが違うために寄生容量とか誘導成分が多くマッチングがずれたと思われます。

部品をそろえて、また作り直してみるつもりです。


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2011年9月4日日曜日

基板到着(1GHz Amp & PinDi-ATT)

先月の20日に格安基板屋に発注していたブツが到着しました。下が設計データです。
割り付けの端数がでるんでしょうか、いつも10枚頼むと12枚入ってます。下が実際の基板です。
値段の割に、とてもいい出来です。

さっそく、あとで実装してみましょう。


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2011年9月1日木曜日

ネットワーク・アナライザの校正基板(2)

前回、キャリブレーションを行う方法にSOLT校正があると書きました。
SOLT校正kitは、メーカーからコネクタ状で提供されるため、同軸コネクタがついたDUT(簡単にいうとテストする回路やモジュール)にしか使えず、基板上のマイクロストリップラインには使えませんと、物の本には書いてあります。また、基板上のマイクロストリップラインの校正にはTRL法が使われますともあります。



このTRL法はThru-Reflect-Lineの略で、簡単にいうと線路長の違う回路を測定して、その位相差を既知の値(線路長から計算できる)と比較校正するというものです。
このTRL法の他にも、いくつか校正法が存在します。
  • LRL (Line-Reflect-Line)
  • LRM (Line-Reflect-Match)
  • TRM (Thru-Reflect-Match)
TRL法の注意点としては、線路長の差が位相差20"から160"に入るように測定周波数の範囲が決まってしまうことです。つまり広帯域の校正が行えないということです。

ちょっとTRL法のお話をしました。これは基板上に長さの異なるマイクロストリップラインをつくるだけでいいので、作成が容易です。(基板1枚にマイクロストリップラインが1本のものを作るといい)

ですが、最初に出てきたSOLT法も、TRL法と同様に基板上にマイクロストリップラインで作ることができるはずです。もちろん、例えばLOADは、基板上に作った線路で整合しないといけないので広帯域なものを作るのは難しいですが、そこそこのものは作れるはずです。

次回は、SOLT法やTRL法について、マイクロストリップラインで作るときの設計(パターンとか長さとか)について書こうと思います。


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2011年8月24日水曜日

ネットワーク・アナライザの校正基板(1)

ネットワークアナライザーを使ったことがある人は、測定の基準点の校正をしないと役に立たないことを知っているでしょう。

このブログの最初の方で、高周波を評価するには電力を使うのが普通ですと書きましたが、ネットワークアナライザは位相と振幅を測定することで、電力の入出力および反射を表示する測定器です。(ネットワークアナライザにはベクトル型とスカラー型があって、前者は位相と振幅を見ますが、後者は振幅のみを見ます。)
一般的なネットワークアナライザにはポートが2つあり、その2つのポートの間に測定する回路等を入れます。この回路等を分布定数回路の2端子回路とみなし、そのSパラメータを測定するのがネットワークアナライザです。

数GHzから数十GHzの周波数になると、1λ(波長)が数センチから数10センチの長さになります。さらに伝送路がプリント基板上の配線になったり同軸のように誘電体に囲まれると、さらに波長が短縮します。つまり、高周波では伝送路つまりケーブルの長さにシビアであるということです。
先ほどのネットワークアナライザは位相を見るので、このケーブルの長さを考慮しないと、結果が違ってきてしまいます。

そこで、ネットワークアナライザを使う時には、実際に測定する素子や基板と、ケーブルの接点までの経路を校正してあげる必要があります。一番最初に書いた測定の基準点というのは、この校正をすることでした。
この校正作業に必要なものが、キャリブレーションキットと呼ばれている高価なコネクタです。


ですが、これらはコネクタの形状なので測定する基板の端っこまでの経路は補正できますが、基板上の配線までは補正できません。基板上の配線長が影響を及ぼすような周波数を扱う時には、キャリブレーションキットと同様な機能を持つプリント基板を作らないといけません。

今回は、このカスタムなキャリブレーションキットのお話です。

比較的低い周波数(10GHz未満)では、SOLTと呼ばれる校正を行います。SOLTは、Short、Open、Load、Thruの4つの頭文字をとったものです。
Shortは、信号線とアースを短絡しています。
Openは、逆に信号線は開放です。
Loadは、50Ωや75Ωなどの終端抵抗がされています。
Thruは、50Ωや75Ωなどのインピーダンスを持った線路の両端にコネクタがあり、信号は素通しです。

この4つについてインピーダンスでみてみると、
Shortは短絡しているために、入力信号と逆位相の信号が入力側に跳ね返ってきます。
Openはその逆で、入力信号と同位相の信号が入力側に跳ね返ってきます。
Loadは、インピーダンスがマッチしており、入力信号の反射がゼロになります。
Thruは、信号損失がほとんどなく入力信号が出力側から出てきます。
このようにインピーダンスがゼロ、∞、50Ω/75Ω等の時の位相差等をネットワークアナライザに覚えさせることで校正が行えます。


次回は、これらを基板上に作るときに、シミュレーターを使うお話です。


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2011年8月20日土曜日

基板発注(1GHz Amp & PinDi-ATT)

ちょっと前の記事のPINダイオードのアッテネータと、前回設計した1GHzのアンプですが、配線パターンを5cm角の基板に詰め込んで格安基板屋のFusionに出してみました。
いつもはEagleを使って回路図から基板を起こすのですが、今回は電磁シミュレータのSonnetで作った配線パターンを使います。

前回設計した1GHzのアンプは1.6mm厚の基板で設計しましたが、基板屋には0.8mm厚の基板で発注することにしたので、シミュレーションをやり直しました。結果はほとんど変わらず、マイクロストリップラインの幅が1.4mmになっただけでした。

Sonnetで作った配線パターンをフリーの基板エディタのPCBEでトレースしました。あとは、スルーホールやネジ穴のホール関係、SMAコネクタなどの部品、これら足りない部分を補い、シルクを書き込んで完成です。
PCBEは、ベタGNDでのランドの窓開けを手動でやらないといけないので注意です。Eagleでは自動的にベタランドの境界をつくってくれるので、これに慣れちゃうと忘れて大変なことになりそう。

垂直取り付けのSMAコネクタとストリップラインの整合が気になるところですが、まあ1GHzくらいなら大丈夫かな。下のPIN-D ATTの基板なんかはトラジェネの226.42MHzで使うので問題なし。

さて、こんな感じに基板にミシン目を入れて、上部をアンプ基板、下部をアッテネータ基板にしました。
10枚で送料込みで約1000円です。

あいかわらず安い。。。


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