このブログでは、工作の記録、実験の結果や考察が散逸しないように専ら備忘録に使ってます。プログラムのソースや設計データ等は載せていませんが、詳しく知りたい方がおりましたらコメントいただければ対応します。

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2011年10月1日土曜日

トラッキングジェネレータ用広帯域アンプ(1)

前回トラジェネのパーツがほぼ揃って、あとは組み立てるだけかなあと思っていたんですが、足りないものがありました。
トラジェネのブロック図のうち、2段目のミキサーの出力を増幅してからLPFに入れないといけないですが、そのアンプが足りません。おそらく2段目のミキサーの出力は-15~-18dBmくらいになるので、20dBmくらいのアンプが必要です。しかもこのアンプはDCから3.5GHzくらいまでGAINがフラットであるほどいいという代物です。

使用周波数がDCから数GHzまでとなると、さすがにMMIC(Microwave Monolithic IC)を使わないと設計が大変です。MMICの入出力インピーダンスは50Ωに整合されているので、整合回路を使わなくてすみます。
あとは、電源のバイアス回路のインピーダンスを考えればOKでしょう。

使うMMICは、前にも使ったミニサーキット社のERA-1です。これを2段にします。3.5GHzあたりまでフラットな性能にしないといけないので、電磁解析シミュレーターを使ってプリント基板の設計も行います。

実際の設計は次回です。


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2011年9月22日木曜日

トラッキングジェネレータ(4)中間まとめ

ランキングが少し戻ってきましたが、いま一歩です。更新頻度を上げていきたいのですが、このblogは実際にモノを作るのが売りなので、なかなか大変です(笑)
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さて、アドバンテストのスペアナR4131用のトラッキングジェネレータを作っていますが、必要な部品がかなりそろってきたので、ここで一回まとめてみようと思います。

まず、トラジェネのブロック図からおさらいしてみましょう。

トラジェネ内部で226.42MHzを作り、スペアナの2nd LO、1st LOを順番に混合させていくだけですが、アイソレーションをとったり、信号レベルを合わせたりと細かい調整が必要です。
226.42MHzの発振器は、以前このblogで製作記事をのせました。
回路を設計して、プリント基板を発注し、上図のように組み立てました。PLLの設定は、PICで行っています。この発振器からの226.42MHzを下図のアンプで増幅します。(このアンプも基板を設計してきれいに作り直したくなってます。)
そして、先日つくったPINダイオードのアッテネータで出力レベルを可変にします。


次に、スペアナからの1st,2nd LOの信号ですが、2nd LOは3.77GHzの固定周波数で、1st LOは4-7.6GHzのスイープ信号です。
この出力端子に信号が混入してスペアナのノイズレベルが上がらないように、アイソレーターを入れます。
アイソレータは必要数以上を在庫していますので、どのくらい挿入するかは、信号レベルなどを見ながら調整しようと思います。

これらはHARRIS他のアイソレータです。3.77GHzで使えるので、2nd LOに取り付けます。アイソレーションは20dB以上あるようです。

このアイソレータは4-8GHzの広帯域で使えるので1st LOに取り付けます。アイソレーションは20dBです。

次は、2nd LO 3.77GHzと、246.42MHzを混合するミキサーです。LO/RF 2.0-4.2GHzで、IFがDC-1.3GHzというミキサーです。

これは上のミキサーで混合した信号から余分な信号を除去するための4GHzのBPF(バンドパスフィルター)です。SAGEのFF1039で、3.93-4.07GHzが通過帯域です。

これは1stLOからの4-7.6GHzスイープ信号と、先ほどの4GHzの信号からDC-3.6GHzの信号を作るミキサーです。

上のミキサーから出力された信号から余分な信号を除去し、トラジェネの出力信号を作ります。
写真の上の細い棒が遮断周波数3.35GHz、下が遮断周波数2.0GHzのLPF(ローパスフィルター)です。最初は下のLPFで作ろうと思ってたんですが、遮断周波数3.35GHzのLPFが入手できたので、こっちを使います。

次に、各信号レベルを調節するためのアンプやアッテネータです。
A-100Lは、0.5-4.0GHzに使えるアンプで、利得は +13-15dB あります。5V 100mAです。

ALM/080-4033は、2.0-8.0GHzに使えるアンプで、利得は+33dBです。ちょっと強すぎなのでアッテネータを10dBくらいは入れないとだめかも。12V 250mAです。

MPA-7049は、2.5-4.5GHzに使えるアンプで、利得は +17dBあります。 5V 130mAです。

これらは1dB-10dBまでのアッテネータです。
最後に、これまでの高周波コンポーネンツを連結するためのSMAコネクタやセミリジットケーブルなど(在庫の一部)です。

以上のようにほとんどのパーツは揃いました。
次回は、信号レベルを見ながら調整していく作業を行います。

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2011年9月8日木曜日

PINアッテネータ完成

更新をさぼってました。なにせロボットにFXをやらせてたら、ことのほか面白かったもので。。。

さて、以前書いた「PINダイオードによる可変アッテネータ」の基板が先週できたので、組み立ててみました。
このアッテネータは固定電圧5Vを基板下部のランド(緑のリード線)に加え、基板上部のランド(赤いリード線)に+15Vから+0Vまで可変電圧を印可することで、減衰量が変わるアッテネータとなります。

性能をチェックするために、3種類の周波数(1GHz、800MHz、250MHz)をシグナルジェネレータから加え、電圧を可変して減衰量を調べてみました。下のグラフがその結果です。
3つのグラフの形状はほとんど同じとなり、特に1GHzと800MHzは重なっていました。
10.5Vあたりから、がくんと減衰量が増え、2V付近で急激に落ち込むようなグラフとなっています。

だいたい11Vから1Vくらいまでを可変範囲にすれば、0dB~-30dBくらいをカバーできるアッテネータとなりそうです。

これをいま作ってるトラジェネの出力調整に使おうと思います。


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2011年9月4日日曜日

基板到着(1GHz Amp & PinDi-ATT)

先月の20日に格安基板屋に発注していたブツが到着しました。下が設計データです。
割り付けの端数がでるんでしょうか、いつも10枚頼むと12枚入ってます。下が実際の基板です。
値段の割に、とてもいい出来です。

さっそく、あとで実装してみましょう。


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2011年8月4日木曜日

発振器用のアンプ(3)

前回の続きです。

在庫の生基板をガラエポと思いこんでましたが、出してよく見たら紙フェノールでした。なので、前回のAppCADの設計パラメータの誘電率を修正し、ストリップラインの幅4.2mm、ギャップ3mmとしました。回路も少し変更してあります。

あとは基板にパターンを刻み、チップ部品だけで下図のように組みました。入出力はSMAコネクタを直接半田付けしてあります。

これなら、まあ落第点ではないですかね?(笑。
さっそく通電し、シグナルジェネレータで226MHzを発振させて入力します。オシロでみると、入力信号がVp-pで241mV(-8.4dBm)に対して、出力信号が1.56V(7.84dBm)でています。
つまり、このアンプの利得は、20log(1.56/0.241)=16.2(dB)となります。

ちゃんとシールドをすれば、もう少し利得が上がるかも。

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2011年8月3日水曜日

発振器用のアンプ(2)

今作ってる増幅回路があまりにも雑すぎて自分で嫌気がさしたので、ちゃんと基板つくることにしました。(まだ基板屋には出さないですけど)

まずAppCADというツールでマイクロストリップラインを設計します。
AppCADはアジレントテクノロジー社が無償で提供している高周波用のツール集です。自由にダウンロードできます。
ツールを起動して左のメニューから"Passive Circuits"をクリックすると、マイクロストリップラインのメニューが現れます。
使用する生基板はガラスエポキシなのでFR-4 を選択すると、誘電率が4.6と入力されました。いろんな材質のものがプリセットされているのでいちいちεを調べなくてよいので楽です。

今回は、周波数2GHz、基板厚さ1.6mm、銅箔厚さ35μmでインピーダンスが50Ωになるように、
ライン幅とギャップを調節します。(周波数はライン幅には直接影響しません)
ここでは、ライン幅を3mmに、ギャップを3mmにすると、50.6Ωとなりました。

ちなみに、Elect Lengthの値を0.25になるようにLの値を調整すれば、1/4波長のラインが何mmなのかわかります。もっと高周波域でフィルタとかをストリップラインで作るときには大活躍って感じですかね。

回路図はこんな感じです。必要に応じて2段増幅できるようにしました。
2段目は利得の高いERA-5でもよさそうです。
できたら続きをアップします

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発振器用のアンプ(1)

ちょっと更新に間があいてしまいました。もう8月です。

この前作ったトラジェネの226.42MHz発振器ですが、出力レベルが少し低かったので、PINアッテネータの前に少し増幅してあげようと思います。
部品箱にミニサーキット社ERA-1という広帯域アンプの石があったので、これを使ってみます。
この石はDC-8GHzまで10dB程度の増幅を見込めるモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)です。 
増幅したい信号ラインの間に入れ、出力ピンにバイアスをかけます。抵抗とインダクタをシリーズに接続し、規定の電流を流してあげるだけでOKという、とっても楽ちんな石です。

さっそく組み立ててみましたが、下の写真のようにシールド遮蔽をする前で時間切れです。いったん休み。(笑

今回の基板は、片面ガラエポの裏に銅箔テープを張った簡単なものです。
試しに数10MHzの信号を入力するとカタログ通りの増幅度が得られますが、さすがにこの状態で226MHzを加えても2-3dBくらい増幅するかしないかという程度です。

次回は銅板で回路を遮蔽し、電源ラインに貫通コンデンサを入れます。

所詮200MHzオーダーの単一周波数のアンプなので、こんな雑に作っても動きます。
でも、DC-数GHzで平坦な特性を持つように作るには、ちょっとまじめにやらないとだめでしょうね。



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2011年7月27日水曜日

PINアッテネータ

PINダイオードは順方向電流値によって抵抗が変わるデバイスです。
整流用ダイオードなどは、P型半導体とN型半導体が接合してできていますが、
PINダイオードはPとNの間に真性半導体層(実際には高い固有抵抗を持つ半導体層)を
挿入してあります。

ダイオードの順方向にバイアスをかけると、低インピーダンスでレジスタンス成分が優勢となり、
逆方向にバイアスをかけると、高インピーダンスでリアクタンス成分が優勢となります。
この性質より、高周波回路では直流バイアスをかけることで、スイッチ回路や
アッテネータ回路が簡単に作れ、さらに特性をコントロールできるので大変便利です。

PINダイオードを利用したアッテネーターを、PINアッテネーターと呼びます。
通常の固定抵抗のアッテネータには、下図のようにπ型、T型やブリッジT型などがありますが、これらの抵抗成分をPINダイオードに置き換えたものがPINアッテネータとなります。

下図はHPのアプリケーションノートにあった、PINダイオードを利用したアッテネータ回路です。
今回はこの回路を使うので、HPのPINダイオードがあるといいですが。。。


こういう時は秋葉の鈴商でしょう。案の定ありました、HSMP-381F
ただし通販限定ですけどw
このくらいの回路だったら、生基板にカッターでパターンを刻めばいいですね。
部品が届いたら作ってみましょう。

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2011年7月24日日曜日

トラッキングジェネレータ(3)

前回、トラジェネの固定周波数226.42MHzの発振器を組み上げました。今回はいよいよPICのプログラムと動作確認です。
VCOをコントロールするADF4113HVには24ビットのシフトレジスターがあり、入力されたパラメータを3個の機能ラッチに格納します。パラメータの入力はLE、CLK、DATAの3線でコントロールし、CLKの立ち上がりのエッジのタイミングで、MSBファーストで24ビットのシフトレジスターに格納されます。そして、LEの立ち上がりエッジで指定した機能ラッチに転送されます。

データシートによれば、 パラメータのリセットを含めた機能ラッチへのパラメータ格納操作を4回行うことで設定が完了するとあったので、タイミングチャートに逸脱しないようにPICの制御プログラムを組んでみました。
多少のんびりですが、20ms以内にはデータ入力完了です。
こんな感じでパラメータを入力してあげると、PLLがすぐに作動し目的の226.42MHzが出力されます。

トラジェネに使うためには、もう少し手を加えないといけません。それは出力レベルの調整機能です。
この発振器の出力レベルを可変にすることで、トラジェネの出力信号のレベルを可変することにします。このために、PINダイオードによるアッテネータを作り、0dBm~-30dBmくらいの調節を目標にします。ついでに、VCOから出ている高調波の除去のためにローパスフィルタも入れておきましょう。

(4)へ続く

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